第11章 有栖と黒の軍②
やっと兵舎に着き、馬から降りる。夕焼けが綺麗だ。
『ありがとう、カリーナ。お疲れ様』
《これくらい、朝飯前よ!
お散歩、楽しみにしてるわね♪》
『うん、僕も楽しみにしてるよ』
彼女の首を撫でながら、労いの言葉をかける。
会話が終わった後、シリウスさんはカリーナを馬小屋に戻した。
「…カリーナは何て?」
『…"これくらい、朝飯前よ!散歩が楽しみだわ"
そう言ってました』
カリーナのお茶目な声色を真似て、伝えてみると、シリウスさんは目を丸くした後に堪え切れないというように笑みを零した。
「っはは、そうか、
普段は聞けない動物達の気持ちを聞けるってのは新鮮でいいもんだな
……今度、チャツネの気持ちも聞いてもらうか」
『チャツネ……ですか?』
「俺が世話してるアライグマの名前だ、
今度紹介する」
『楽しみにしてますね』
2人で並んで歩きながらそんな他愛のない会話をする。
だんだんと兵舎が近付いてきて、僕は気持ちを落ち着かせるように深呼吸をした。
「…緊張するか?」
『…はい。あんな出て行き方をしてしまいましたし、上手く説明できるか不安で…。それに、"あれ"も上手くいくかどうか…』
「何、大丈夫に決まってる、
安心して俺を信じな」
そうして、何度目かの頭ポンポンに頬を赤らめる。
…1ヶ月経っても、これは慣れないだろう。
真っ赤な夕焼けを背に、僕は1歩ずつ、しっかりとした足取りで兵舎へと入っていった___。