第11章 有栖と黒の軍②
"…良い能力だな"
シリウスさんのその言葉が頭の中でこだまして、僕は何も言えなくなってしまった。
初めて言われたその言葉が本当に嬉しくて、もし、生まれた時からずっとこの世界にいたのなら、僕も この能力を好きになれていたのだろうか。
…この世界の人はどうしてこんなに優しいのだろう、
やっぱりゲームだから……___。
その事実から目を背けるように、僕は目の前に広がる景色をまっすぐに見つめた。
そうしているうちに、見覚えのある大きな橋が見えてきた。
「さ、もう少しだ」
シリウスさんの声をしっかりと自分の耳で聞いて、これから始まる1ヶ月をしっかりと乗り切ろうと、胸に刻みこもうと、改めて決意した。
「…そういえば、何で俺達の名前を知っていたんだ?
お嬢ちゃんはこの国の人間じゃないだろう?」
その言葉に、僕は、さらっと嘘をつく。
『夢です』と。
押し寄せる罪悪感から目を背け、これでいい、これが最善だと自分に言い聞かせる。
そう言い聞かせるのに必死で、僕は、ついポロっと本音を零してしまった。
この世界なら、僕は僕を認められるかもしれない、そんな夢を持ってしまった。
そんな僕に対するシリウスさんの言葉で、少し気持ちが軽くなった感じがしたが、その後にされた"遊び"だという提案には、正直不安しかない。
シリウスさんがいたずらっ子みたいな顔をしている…。かっこいいんだけどさ…、本当に大丈夫か…?