第10章 有栖と黒のQ
黒の橋に着いた時、俺は、ずっと聞こうと思っていたことを遂に言葉にした。
『そういえば、何で俺達の名前を知っていたんだ?
お嬢ちゃんはこの国の人間じゃないだろう?』
ハールとの会話の中で、彼女がクレイドルの人間ではないことは分かっていた。もしクレイドルの人間であれば、名前を知っていてもおかしくはないのだが、そうではないのだ。
「…夢です」
『……夢?』
思わぬ答えに俺は眉を寄せる。
「はい。僕は、科学の国…という言い方をするんですよね、そこに住む人間です。
でも、この能力、いや、魔力と言うべきでしょうか、
のせいで、よく予知夢を見るんです。
…そこで、この世界の夢を前から見ていて、皆さんにもいつかお会いすることになるかもしれないと思っていました」
単純に、魔力持ちだとそんなこともあるのか、そう思った。
『なるほどな、それなら納得がいく。
黒の軍の奴らには、俺が教えたって言ってあるが、それで良いか?能力のことを知られるとやりづらいだろう』
「お気遣いありがとうございます、助かります」
でも、と付け足して、有栖は続けた。
「…この世界の皆さんになら、この能力のことを伝えても良いかもしれません」