第10章 有栖と黒のQ
「…よし、じゃあ 帰るか」
ようやく落ち着いた僕を見て、シリウスさんはニコッと笑う。
きっと赤くなっている目元を隠して、僕は頷いた。
「ハールに話があるから、先に外に出ておいてくれ」
『分かりました』
素直に返事をして、外へ出ようとする
が、ふと気が付いて後ろを振り向く。
『ハールさん、ロキ、お世話になりました
ありがとうございました!』
気持ちはスッキリとしていて、いつものように笑えていたと思う。
2人の魔法使いと目を合わせて、お辞儀をする。
「またおいで〜♪」
「シリウスにいじめられたら うちに来るといい」
「…おい」
2人の言葉と表情にまた心が温かくなって、僕はもう一度お辞儀をしてから外へ出る。
家の前には、一頭の黒い馬が木に繋がれていて、この子がシリウスさんの乗って来た馬だとすぐに分かった。
驚かせないようにゆっくりと近付いて頬を撫でる。
《…貴方、エルちゃんじゃないわね…
私の声が聴こえるのね?お名前は?》
『僕の名前は有栖、っていうんだ。
ちょっとした魔法が使えてね、自分のこの能力は嫌いなんだけど、君みたいな素敵な女性と話せることだけはとても良い所だと思ってるよ。
黒の軍の兵舎まで、よろしくね』