第9章 黒のQと仲間達
次の日の0800。
執務室には、いつもの軍議とは違う空気が漂っていた。
全員集まったことを確認し、俺は口を開く。
『よし、全員集まったな。じゃ、早速本題に入らせてもらう。
分かっているとは思うが、エルのことだ。』
その場にいた男達は誰も口を出さずに緊張した面持ちでじっと次の言葉を待っている。
普段から明るく素直なエルは、怒ることこそあるものの、その内容はどれも可愛らしいもので、いきなり飛び出て行くなんてことはもちろん今まで1度もなかった。
だからこそ、エルの今回の行動の裏にある事の重大さを覚悟しているのだろう。
『まあ、そう身構えんな、簡単な話だ。
まとめると、今のエルはエルじゃないってことなんだが…』
「ちょっと!ちっとも簡単じゃないわよ!アリスちゃんがアリスちゃんじゃないってどういうこと!?」
「ちょ…セス、落ち着いて」
待ち切れないというように口を出したセスをルカがすかさず宥める。
『エルがうっかり開いた本の魔法で、これから迎えに行くエルと中身が入れ替わってしまった、ということだ』
俺の説明に、質問を投げかけたのはレイだった。
「…入れ替わったってのはどんな奴なの」
『ああ。タカナシ アリス、と言う名の女性だそうだ』
「アリス…って……」
『それには俺も驚いた。ま、詳しい紹介は彼女自身にしてもらうことにしよう。
何も質問があるやつがいなければ、今から迎えに行っ…』
行ってくる、と言おうとした時、今までずっと黙り込んでいたフェンリルが怪訝そうな顔をしながら口を開いた。
「…じゃあ、じゃあなんでそのアリスって奴は俺らの名前を知ってたんだ」