【イケメン戦国】私は彼が気に食わない【加筆修正中】
第2章 したたかさ と たおやかさ
「千花様?」
「そうして、私の事をいつも気にしてくれるけどっ…
三成くん自身は、」
貴方は、何がしたくて、何が好きなの?
いつも皆を立てて、後ろに控えて、ニコニコ笑っていれるのはどうしてなの?
本当は何か言いたい事があるのに、皆に遠慮して抱え込んでいるんじゃないの?
たまにじっと見詰めてくる、その視線にはどんな意味があるの──
聞きたいことが山ほどあるのに、上手く言葉にならない。
どちらも黙り込んでしまった変な空気の中、切り出した手前引込みがつかなくて、おずおずと三成くんの顔を見上げる。
困ったような、でも少し楽しそうな。
悲しそうな、笑んだ様な、複雑で綺麗な表情がこちらをまた真っ直ぐに見ている──と、思った矢先。
「千花様!」
「っきゃ…!」
「あぶねぇな!往来のど真ん中で突っ立ってんじゃねぇ!」
ぐい、と腕を強く引き寄せられ、状況を察する暇もなく三成くんの胸元に収まると。
飛脚さんが罵声を上げながら、すれすれを駆け抜けて行った。
申し訳ありません、とその背に向かい頭を下げる三成くんをぼんやりと見つめる。