【イケメン戦国】私は彼が気に食わない【加筆修正中】
第1章 プロローグ(家康の二人に対する所感)
はっ、と。
自分の発言を後悔する様な表情を一瞬浮かべ…
しかし、その表情をすぐにまたむすっとした物に戻す千花。
すると目線の先、恐らく彼女の機嫌を損ねている原因の張本人が、こちらに向かい駆け寄ってきた。
「千花様、家康様!
媼方が、林檎をこんなに沢山下さいました!」
「…彼奴、漸く戻ってくるね」
「うん…
あ、三成くんあんなに腕いっぱいの林檎…
あ、あー…!!」
案の定、三成は沢山の林檎をその腕から零し。
ごろごろと転がる沢山の林檎にあたふたとしているのに見かねたのか、隣の千花が立ち上がり、彼の元へ駆けていく──俺の手に、一つだけ残された茶団子を押し付けて。
三成の元に駆け寄り、咎めるような目をしながら、一つ一つ林檎を拾う千花。
恐らく、ありがとうございます、なんて言ったのだろう…いつもの胡散臭い笑顔を浮かべている、奴に少し赤い顔をして。
世話を焼きたくて、居てもたってもいられないくせに──お前達、何だか似てるよな、なんて笑う秀吉さんを思い出しながら。
手に持った茶団子を頬張ると、恐ろしく甘い筈のそれはどうしてか苦々しい。