【イケメン戦国】私は彼が気に食わない【加筆修正中】
第1章 プロローグ(家康の二人に対する所感)
はむり、と。
小さな口を精一杯開けて、皿の上の最後の団子を頬張った彼女をちらりと盗み見る。
その目は真っ直ぐに、女の垣の向こう側の彼奴を見据えていた。
甘い菓子が好きだと言っていたのに、それに似つかわしくないむっすりとした表情をみとめ、思わず溜息をつく。
そして二人で居るのに沈黙したままなのも何か、と口を開く──
「随分、不機嫌そうだね」
「…そう?家康の気のせいじゃない」
「はぁ、よく言うよ」
取り尽くしまもない、と早々に会話を打ち切り。
自分の取り分に手を伸ばす──が、皿の上は空だった。
おや、と目線を上げると、自分の頼んだ茶団子が串から一つ、彼女の口に放り込まれる瞬間。
「…ちょっと、千花」
「家康が、意地悪なこと言うから」
「意地悪って、何。
さっきのをあんたが意地悪と取るなら…
俺は、図星をついたってことでしょ」