第4章 笹色(ささいろ)
「少し横になれ」
幸村が作ってくれた笹の褥にゆっくりと腰をおろし、腕を枕にして身体を横たえる。
「ありがと」
「……ん」
「ふわふわして寝心地いい」
「ゆっくり休んでろ」
「うん」
パチパチと柔和な音を立て燃えるたき火をぼんやりと眺めていると、幸村はおもむろに言葉を発した。
「あの毛針……かなりの自信作だったんだぞ」
「だって
蜂とミミズが合体した気持ち悪い虫にしか見えなかったもん」
「何十枚も羽のある虫なんかいねーわ。
今度、もっと気持ち悪い毛ばり、一緒に作ろうぜ」
「幸村のいじわる。
それにミミズ以上、気持ち悪いのいないから!」
「くく」
「あ、そう言えば……
小さい頃、虫の羽の数を覚える替え歌あったよ?」
「替え歌?」
「うん。音は変えないで歌詞だけ変えるの」
「へえ、聞かせてくれ」
「うん」
懐かしいメロディーに思いを馳せながら私は歌う。