第4章 笹色(ささいろ)
「わっっっっ!
蜂!? ミミズ!? え? 合体してる?
何!?……羽が……羽が、何十枚もあるっておかしい!
無理ムリムリムリムリムリッッ!」
「よく見ろッッッッ! 蜂でもミミズでもねえよ!
俺が作った毛ばりだ!」
「け……けばり?」
確かに良く見ると蜂の羽に見えた部分は何十本ものやわらかいヒゲのようなもので出来ており、巻き締めた黒い糸の先には釣り針がついていた。
「作り物だってわかったから、こうやって見てられるけど……気持ち悪い虫にしか見えない……」
「気持ち悪い虫なら上等だ。
今回は気合いれて作ったからな。
てか、ハチとミミズ、苦手なのか?」
「蜂はそうでもない……
いや、見たこともない気持ち悪いハチは無理!
んで……ミミズだけは何がなんでも絶対無理ッッ!」
強い口調で拒否すると、ちょろちょろ燃え上がるたき火に小枝を何本かくべた幸村は冷やかすようにくすりと笑った。
「お前にも苦手なもんあんだな」
「私にだって嫌いなものぐらいあるよ!」
「この時代に馴染んでたからよ……意外だった」