第4章 笹色(ささいろ)
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「おばあちゃん!もうお芋さん焼ける?」
「今、火をつけたからねえ。もう少し時間かかるかな」
「じゃ、お団子作って待っててもいい?」
「いいわよ~ろきはお団子作り上手だものねえ」
チロチロ燃えるたき火とにこにこ微笑むおばあちゃんを視線の隅に置きながら、私は泥団子を作るため湿った土をスコップで掘り起こす。
ぶんぶんぶ~ん はちがとぶ~
おいけのまわりに おはながさいたよ
ぶんぶんぶ~ん はちがとぶ~
歌に夢中で……
スコップに乗った土にふと目をやると、ウネウネと毛玉のように絡まったミミズがのたうち回っていて、その中の数匹が柄を伝いぴょんぴょんと跳ね手の甲に乗ってきた。
「わぁ~~~っ!!!」
蜂にでも刺されたような激しさで泣き叫ぶ私に驚いたおばあちゃんは勢いよく下駄を鳴らして駆け寄ると、まとわりつくそれを急いで払い退けてくれた。
「あらあら、ミミズさんもビックリしちゃったんだね。
でももう大丈夫」
おばあちゃんはそう言うと、泣き止まない私の体を包むようにギュッと抱きしめた。
……それ以来、私はミミズが大の苦手。
手に乗ってきた感触を思い出すだけで、電気に打たれるような身震いが全身を通り過ぎる。
釣りにミミズを使うのは知ってるけど……
でも……
絶対無理。
どう考えても無理。触れないし見たくない。
鳥肌立つ両腕をギュッと掴みながら、目の前でたき火の準備にいそしむ幸村におずおずと尋ねた。