第3章 紺鼠(こんねず)
「ちょっ……! 違う違うッ! 幸村も佐助君も誤解してるってば!」
「ろき、お前……ぷっ。
食い意地張ってんだからそう言われても仕方ねえだろ……くくっ」
「もぉぉぉおおおおおおおおおお! 違うんだってばっ! それに私、食い意地なんて張ってない!」
顔を赤くしてムキになり叫ぶ私に幸村が更に追い討ちをかける。
「だから……ぷっ。お前は牛かよって……ぶはっ」
「なっ! まだ言う? 私はイノシシでも牛でもないんだから!」
「幸村、それはろきさんに失礼だ。
ろきさんは瓜坊みたいに可愛いんだ。
ね? ろきさん、牛ではないから安心して?」
「佐助君! 言ってる事おかしいよ!
私の話聞いてる?」
「佐助、親と子の呼び名が違うだけでイノシシではないか……くくっ」
「もう!」
幸村の突っ込みに、全くフォローになってない佐助君の言葉と、最後にドスンと爆弾を落としてくる謙信様の姿に頭を抱える。
こういう時、信玄様は必ずフォローしてくれて、私をからかうこの3人を信玄様らしい独特な言い回しで咎めてくれた。
結局最後はいつもみんなが笑顔になって、大切な人達と楽しい時間を共有できる事が私にとって一番の幸せだった。