第2章 照柿(てりがき)
『嬉しくて嬉しくてしょうがねえ』
『俺がぜってー守るから。心配すんな』
『手ぇ出して腹の子に障ったらどうすんだって!』
『俺は守るって決めたんだ……だから我慢する』
思い浮ぶのと同時に体の芯から言葉に出来ない愛しさが湧いてきた。
体を反らし大きな胸板をそっと押し返す。
戸惑う幸村の瞳を射貫くように真っすぐ見つめ微笑むと、湯帷子の裾を割り胡座の上にまたがった。
私は視線を落とし荒ぶるような熱に手を添え、腰を上げると導くようにゆっくり自分の中に沈めていった。
「うっ……」
奥まで届いた感覚に全身がビリビリと痺れるように波立ち思わず声が漏れる。
「くぅぅ……ろき……なにして………」
掠れたような声で私の名を呼んだ幸村は何かを耐えるように目を閉じ顔を歪ませた。
私の中に熱を込めたまま動こうとしない幸村の気持ちが痛いほど伝わってくる。
両手でそっと頬を包むと溢れんばかりの愛しさを込めて語りかけた。
「我慢しないで……」
静かに目を開いた幸村は不安を集めたような表情で呟いた。