第2章 照柿(てりがき)
「幸村だって恥ずかしいんじゃない。
それに、もう見ちゃったんだから今さら隠したって遅いよ……ぷっ」
「だ、だな……さっきから痛えんだよ」
「え。痛いってどうかしたの? ちょっと見せて」
痛いと聞いて心配になり、傷でもあるんじゃないかと手を伸ばした。
「バカかお前はっ。怪我なんてしてねーの!
お前の身体に反応しておっ立ってんだよ!」
「あ……」
「そういう事だ。気にすんな。
そのうちおさ……」
そのうちおさまる…と言いたかったのだろう。
必死に抑えて耐える姿を目の当たりにし、切なくなった私は言葉を遮るように唇を重ねた。
不意の口づけに目を大きく見開いた幸村だが、次第に角度を変え吸い付くように深く求めてくる。
じんわり疼く身体をそのままにそっと唇を離すと、幸村は肩を揺らしゆっくり大きく息を吐いた。
「ふう〜」
「幸村?」
私の問いかけに困ったような顔をして微笑むと壊れ物を扱うかのようにそーっと抱きしめられた。
いつもなら口付けでこもった火照りをぶつけるように私の身体を求めてくるのに、今の幸村にはその欠片もない。
抱きしめられる中、懐妊したと告げられてからの幸村の言葉が、頭の中に一瞬にして津波のように押し寄せてきた。