第2章 照柿(てりがき)
痺れを切らしたような口調に、これ以上抵抗しても無駄だと悟り、幸村に背中を向けると渋々湯帷子を腰まで落とす。
大きな手を私の肩に置くと、利き手で背中を滑らすようにぬか袋で優しく擦られ、肌に吸い付くようなその刺激がとても心地よく……私は目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。
「気持ちいい……」
「だろ。ギャーギャー喚いてた割には素直じゃねーか」
「背中流してもらうのがこんなに気持ちいいって知らなかったもん」
「そりゃよかった」
「うん」
「よし。こっち向け」
声が聞こえたかと思うと一瞬で体の向きを変えられ、背中を擦られる気持ち良さにぼんやりしていた私は突然の事に驚きとっさに胸を隠した。
「わっ!」
「ほら、手どかせって。
俺に初めて見られる訳でもねえだろ」
「そういう問題じゃな………い……」
「あ?」
私の視線を追うように幸村は自分の股間に目を向けた。
存在を知らしめるかのような、見てるこっちが恥ずかしくなるほどにそそり立つ、大きな熱に目が釘付けになる。
「あ……やべ」
「………………」
「そんなじっと見るな!」
真っ赤になりながら慌てて隠そうとする姿が可笑しくて、思わず笑いが込み上げる。