第2章 照柿(てりがき)
自身の理性までもギリギリに保ち、私を守ろうとする幸村の一途な思いに驚きを隠せず、恥ずかしさは一瞬にしてどこかへ吹き飛んだ。
「私だって幸村欲しいよ。
幸村と繋がりたい」
「ダメだ……お前を傷つけるような事出来ねえよ」
「繋がれない寂しさで私が傷ついても出来ない?」
「……」
「幸村?」
「……」
「今まで通りでいいんだよ?」
「まぁ、あれだ。
とりあえず帰るぞ」
幸村は会話を中断し、何かを払拭するかのように大きく息を吐くと両手に荷物を抱える。
私はわだかまりを感じながらそれ以上言葉を発する事なく、差し出された腕に大人しく手を回した。