第2章 照柿(てりがき)
逞しい胸に包まれた私の後ろ髪を撫でながら、絞り出すような掠れた声を出す。
「お前見てると、腹の底から触れたい気持ちが湧いてくる。
これでも必死に抑えてんだ。
少しぐらい……いいだろ」
「抑えてるって………どして?」
幸村が何を伝えたいのかいまいちわからず、疑問を投げかけると深いため息と共にがっくり肩を落とした。
「はあ……お前なぁ…………」
「私にだけ言わせといて、幸村ずるいよ」
なかなか口を開こうとしない幸村に見かねた私は不満を口にする。
その言葉に堰を切ったかのように幸村の感情と言葉が一気にあふれ出した。
「ああん!? 何がずるいだ。
今ここで俺の欲全部ぶちまけてお前を押し倒してもいいのかっ!?
何日お前を抱いてないと思ってんだ!
それに腹に子がいるんだぞ!
俺が手え出してなんかあったらどうすんだよ!」
「あ……ここじゃダメだよ。だって外だもん」
「無邪気な顔してさらっと拒んでんじゃねーよ。
とにかくそういう事だ。
俺を煽るなっつーの」
「そ、そんなに我慢してるとは思わなかったから……。
え、えと、今まで通りでいいんじゃない?」
「だ〜か〜ら〜!
手ぇ出してお前と腹の子に障ったらどうすんだって!」
「心配しすぎだよ幸村……
それとも生まれるまでそうやってずっと我慢するの?」
「っっ!くっ……
俺は守るって決めたんだ。
だ、だから我慢する」