第7章 天色(あまいろ)と亜麻色(あまいろ)
「嬉しい贈り物だね」
「よろしゅうございましたな」
重なる声に顔を上げれば、信玄様と道三様二人が優しい笑みをたたえ私を見つめていた。
「ろき様、明日からの楽しみが増えましたな」
「え?」
道三様のおっしゃる言葉の意味がわからず、咄嗟に聞き返す。
「染め物には良い季節にございます故。
幸村様がお戻りになるまでの間、謙信様に頂いた糸を染めては如何かな?」
「あ、そっか!そうですよね! 道三様、ご指導よろしくお願いします!」
「お任せをば」
春日山の皆に、こんなに良くして頂いて可愛がって貰って……私はなんて幸せなんだろう。
慌ただしく繰り返される毎日が楽しくて愛おしく、幸村のいない寂しさはいつの間にか、周りの大切な人々によって次第に和らいでいっていることを実感させられる。
明日から始まる染色作業も凄く楽しみだし、
幸村がいつ帰ってきても、笑顔で迎えられるように私も元気で頑張ろう。