【松】終身名誉班長とマフィア幹部と汚職警官から逃げたいんです
第4章 後日談&おまけ
「行きましょうか、一松さん!……あ、あ、あの、腕を抱いてもいいでしょうか」
「あ、ああ」
許可してやると、頬を赤くし、ためらいがちにこちらの腕をつかみ、もたれてくる。
「……よ、よ、よし。行くぞ」
「はい!」
素直にうなずくナノも悪くはない。しかし歩いていてすぐ視線に気づく。
「何だよ。俺の顔をじろじろ見て」
「だって、一松さんがあまりにもカッコいいから」
「…………」
クールだ。クールになりきれと自分を抑える。
「私なんかが一松さんの隣を歩いていていいんでしょうか。釣り合っているか不安です」
殊勝なことを言い、しゅんとうなだれる。
俺は必死に自分を抑え、
「まあ多少ガキだが、俺は嫌じゃねえよ」
「ホントに!?」
「何度も言わせるな。行くぞ」
「はい!!」
ピョンピョンと跳びはねそうな喜びよう。
こんな幸せそうな顔をするのなら、もう少し喜ばせてやってもいい。
気がつくと俺たちは笑いながら、夏空の浜辺を歩いていた。
そして、ホテルにいる。ハワイのリゾートかという、南国ムードあふれた、開放的でアジアンテイストなホテルに。
そして今、ベッドの上で、
「い、い、一松さん……や、優しく、して、ください……」
あれ? 何でホテルに場所が飛んでるんだ?
さっきまで一緒に浜辺を歩いてたはずじゃ。
ここ、どこのホテル? 何でナノのやつ、クソ松に用意されたみたいなギリギリの布地しかないエロ下着を着てんの?
けどナノは湯上がりの匂いのする身体で、身体の露出部分を恥ずかしそうに手で隠し、顔を真っ赤にしてベッドの上で恥じらっている。
あまりにも初々しいので、こっちもつい、
「そう怖がるなよ。気持ちいいの、好きだろ?」
「い、い、一松さんが、お望み、なら、何でもします……」
半裸の身体を抱きしめると、体温と激しい心臓の鼓動がじかに聞こえる。
その恥じらいが可愛くて、いつもみたいに力任せに押し倒したりはせず、そっと優しく横たえる。ナノは真っ赤で、でもどこか期待した潤んだ目でこちらを見上げてくる。
「大丈夫。今日は、どこまでも甘やかしてやるから」
「嬉しい。愛してます、一松さん……」
覆い被さって優しくキスをし、濃厚な愛撫をほどこしてやる。
そして至福のうちにナノの身体を抱きしめた。