【松】終身名誉班長とマフィア幹部と汚職警官から逃げたいんです
第4章 後日談&おまけ
終身名誉班長とマフィア幹部と汚職警官から逃げたいんです。
でももう逃げられないんだろうなあ。肉体的にも、精神的にも。
そう思いながら、今日も私は怠惰な日常にため息をつくのであった。
…………
何が。どうなって。何で。こんなことに。
ここは工場の会議室である。そこには三人の成人男性と一人の少女がいた。
「さて。そろそろ結論を出してもいい頃だろう」
カラ松さんが腕組みをし、傲岸不遜に言い放つ。
「この部屋では、マフィアだの警察だのは無しにしようぜ。野郎同士の話し合いだ」
ポケットに手を突っ込み、肩をいからせながら、一松さんが低く言う。
「二人とも、そう殺気立つなよー。誰がナノを連れて行くかって話だろ?」
と軽く笑うおそ松さん。
え? そういう話なの?
わー、私ってモテモテー? いやーん☆
……本当にそうなら、なぜ私は三人のど真ん中で、椅子に座らされ縛られてるんだ。
しかも口に布を噛ませられてしゃべれないし。
だが、当事者である私を完スルーして話は進む。
「話し合いを持つまでもなく、子猫ちゃんを連れて行くのは俺だろう?」
カラ松さんがご自分の前髪をなで上げる。
「俺ならキティを豪邸に住まわせて、あらゆる贅沢をさせてやれる。
何より俺の女であることが、子猫ちゃんには最高のステータスになる」
いや、私、庶民派なんで……。ツッコミてえが、口がきけない。
「はあ? 明日、抗争で撃たれて死ぬかもしれない分際で、何をほざいてやがるクソ松」
指をポキポキ鳴らしながら、一松さんが低い声を出す。
「てめえみてえなマフィアの幹部様は、どうせ手に入れた瞬間に飽きて捨てんだろ!」
「飽きはしないし、俺は惚れた女には一途だ。子猫ちゃんはまだ宝石の原石。
これから俺が一流の女に磨き上げてやる」
カラ松さんは涼しいお顔。
あのー。その宝石の原石様がー、なぜ発言権を与えられず縛られてるんすかねー?
フガフガしながら突っ込んでると、一松さんが私の両肩に手を置いた。
誰にもやるものか、と言わんばかりに、
「いいか? こいつを『女』にしたのは俺。仕込んで開発してやったのも俺。
今だって一番寝てるのも俺だろうが!」