【松】終身名誉班長とマフィア幹部と汚職警官から逃げたいんです
第3章 マフィア幹部カラ松
「うるせえ! とっとと帰れっ!!」
と一松さん。
うん。マジで帰れ。もう全部が限界です、私。
一松さんの腕に頭を預けながら、ぐったりする。
そこに。
「やれやれ。マイキティは工場に帰るなり、さっそく男をくわえ込んでいるのか?」
ただれた空気の班長室に、緊張が走る。
いや、逃げたんだけど一松さんに引きずって連れてこられたんですよ!
カラ松さんが入り口に立ち、私たち三人を呆れたように見ている。
「ああン? 何かご用ですかね、カラ松『様』。
見ての通り、今はプライベートの時間なんですが」
私を抱き寄せ、マフィアにガンを飛ばす一松さん。
「何、去る前に子猫ちゃんと最後の別れを惜しもうと思っていたんだが」
別れを惜しむ。どこぞの空き室に私を押し込み、やらかすことであるが。
「ああ、俺も予約入れてるからね、俺らの後で良かったら、どうぞ」
おそ松さんはふざけた声で笑う。
だがカラ松さんは挑発には乗らない。
ジャケットを脱いで椅子に放ると、
「俺も混ざるぞ。子猫ちゃんは一人の男では満足出来ないらしいからな」
と私の腕をぐいっと引っ張る。
「うわあ、マジかよ。引くわー」
一松さんが喉の奥でヒヒッと笑う。対抗心より加虐心が勝ったらしい。
「えー。久しぶりに四人でやんの? ナノちゃん、そろそろ壊れちゃうんじゃない?」
とうの昔に壊れてます。色んなものが。
「まあ、たまにはいいか。そういうわけで、頑張れよ、ナノ」
私を見下ろし笑う一松さんが、もはや悪魔。
「ホントに小悪魔だよね。どれだけ俺らを夢中にさせるの」
嘘つけ。絶対に処理係にしか思ってないでしょ、汚職警官。
「罪な子猫ちゃんだ。今夜は、眠れないと思ってくれよ」
と私を抱き寄せるカラ松さん。むしろ眠れたらすごいと思う。
だけど壊れてる私は、そんな扱いを受けても、ジワッと下に熱を感じる。
「やあ……ダメ……そんな、激しくしないで……っあ、もっと……下さい……!」
床に引き倒され、一晩中あえがされて。
「皆、死ねばいいのに」
一夜明け、皆の腕の中でボソッと呟くと、
「おまえに殺されるのも、悪くねえな」
「ウソをつかないとこ、好きだよ」
「情熱的な告白だな、子猫ちゃん」
と、三人が嬉しそうに笑うのだった。