【松】終身名誉班長とマフィア幹部と汚職警官から逃げたいんです
第3章 マフィア幹部カラ松
髪からポタポタとお湯が流れ、カラ松さんの身体も熱くて、何か意識が……。
「ナノ」
「っ!!……いったっ……!! い、痛いっ!!」
首筋に焼けるような痛みを感じ、意識が戻った。
まただ。また噛まれた。首筋のあの噛み痕にもろに歯を立てられた!
上書き二回って勘弁して下さい。
「一松やおそ松とも、仲良くしていたようだな」
カラ松さんが私の傷に舌を這わせている。
「え……は、はい……」
肩越しに見える目が怖い。全然笑ってない。
「子猫ちゃんは、俺たちの中で誰が一番嫌いだ?」
「え……」
固まる。誰が好き、ではなく嫌い。この質問は非常に困る。
「怒らないから、答えてごらん」
「その……あの……」
大きな手が、私の胸を包む。私の後ろに当たるものも硬さを増しているけど、まだ質問を忘れるほどではないだろう。
「一松とおそ松と、俺。誰を一番憎んでいる?」
低い声で重ねて聞かれる。
「子猫ちゃんは素直だから、ウソを言っても、すぐに分かる。
マフィアにウソをついたらどうなるか、分かるだろう?」
私はカラ松さんを振り向いた。
ずぶ濡れの子猫のように怯えた目をしていただろう。
「みんな……死ねばいいと思ってます」
カラ松さんはそれを聞き――笑った。
声を上げて、心から愉快そうに。
「っ!!」
私はシャワールームの床に押し倒された。
ざぁざぁと降り注ぐ湯の中、
「マイキティ。おまえほどいじめがいのある女は、そうはいないだろうな」
私は聞き流して口を開け、せめて湯の水分を精一杯に、喉に流し込もうと――。
「っ!!」
口をガッとふさがれる。
「飼い主の許可無く水を飲もうとするとは、しつけのなってない子猫ちゃんだ」
カラ松さんが私を見下ろし、冷たい視線をよこす。
そしてカラ松さんは私の足を抱える。
何も前戯をしてないので、当然一切の準備が出来てませんが。
「さて、お仕置きの時間と行こうか。
今回もたくさん泣いてくれるだろう? マイキティ」
こういう趣味だからなーと私はため息。
噛まれた傷が痛い。そして下に、引き裂かれるような痛みを感じ始める。
そういうわけで、私はカラ松さんが一番苦手なのだ。