【松】終身名誉班長とマフィア幹部と汚職警官から逃げたいんです
第3章 マフィア幹部カラ松
…………
暗い。何も聞こえない。
あの後、私はカラ松さんの視察が終わるまで別室で待機させられ、それから高級車で、カラ松さんとホテルに移動ということになった。
ちなみに待機はマジで待機。狭くて汚い会議室っぽいとこで、カラ松さんの下っ端の部下の人に見張られながらの待機だった。
むろん、怖くて見張りの人と会話する気はないし、向こうも会話が禁止されてるらしい。
仕事をしないですむのはいいけど、コップ一杯の水も出やしない。
確実に一松さんの嫌がらせだ。
あの闇班長。後で覚えてろ……どう仕返しすればいいか、分からんけど。
私は大半の時間、食べ物の夢を見ながら、会議机にぐったりもたれて過ごした。
その後カラ松さんの帰りを待って目隠しされ、車に移送された。
いい加減に喉の渇きも限界だったけど、飲まず食わずじまいだった。
車の振動が身体に伝わってくる。
今、どこを走ってるんだろう。かすかに傾いたからカーブかな、とか止まったから信号なんだろう、とか。それくらい。
車で移動させられるとき、私は目隠しをされ、音を遮断する特殊なヘッドフォンをつけさせられる。自分で取れないよう手首まで縛られて。
そこまで念を入れなくても、マフィア幹部の滞在先なんてバラさないのになあ。
結構前のことだけど、一度だけ目隠しとかを外され内部を見たことがある。
さすが、マフィアの幹部様専用車だなーと、最初は素直に関心した。
運転席との間には頑丈な仕切りまである黒の大型車だった。窓はもちろん防弾ガラス。
分厚い耐火カーテンもして、中が見えないようになってる。
さらに後ろにも座席があり、ボディガードの人たちが乗ってるらしい。
……その後、何で目隠しを外されたか聞かされ、真っ青になった。
車内でサカられたのだ。
しかも運転席や最後部座席は、カラ松さんに何かあったときのため、音までは遮断されてないと知った。
つまり――こちらの声が筒抜け。
そんなこと言わなくていいのに、何で教えるんだ、あなたはっ!!
抵抗して嫌がる私を押し倒しながら、カラ松さんは笑みを見せた
あいつらは信頼出来る部下だから、聞かないフリをするし、もちろん口外はしないって……されてたまるか!!
泣きわめいて拒む私を楽々と押さえつけ、カラ松さんは私を犯したのだった。