【松】終身名誉班長とマフィア幹部と汚職警官から逃げたいんです
第3章 マフィア幹部カラ松
私なんかを相手にするとか、ご自分の評判を落とすようなものですよ、と毎回説得するんだけど、笑って流される。
『私に飽きてくれますように』『次こそは美女の愛人を連れてきてくれますように』『あとチョコレートを山ほど食べたい』『ついでにS班長とクソ警官死ね』と毎晩ベッドで
お祈りしてるんだけど!
「久しぶりだな、マイキティ!」
あー、聞きたくない、聞きたくない。
カラ松さんは工場の視察のため、近くの高級ホテルに泊まる。
その際、夜の相手にと指名するのが――なぜか知らんが私なのだ。
…………
工場を所有する国内有数規模のマフィア。その幹部たるカラ松さん。
組織の信頼厚い男であり、彼の銃弾に倒れた敵組織の要人は数知れない。
むろん彼に熱狂する女性は多く、彼もその気になれば、どんな女だって落とせるだろう。
なのに何で私?
最初に工場に視察に来たときからご指名を受けている。
謎だ。未だに謎だ。
一松さんが私に手を出してくるのは……他に手頃な女がいない環境だから、まあ納得が出来る。
おそ松さんも、ある程度納得は行く。聞いた話だと、外ではあんまりモテないらしいし。
(本人はすごく傷ついた顔で否定してきたが)
カラ松さんが私に手を出してくる理由だけが謎だ。
おそ松さんに聞いたら『小さくて震えてて可愛いからじゃない?』と電動歯ブラシみたいなことを言われた。
一松さんに聞いたら『頭の悪いことを言うのはこの口か!? この口か!? ああ!?』と押さえつけられ、色んな口に色んなものを突っ込まれた。
なので『私が自意識過剰なだけ』と結論せざるを得なかった。
カラ松さんは私に言わないだけで、他にたくさんの女がいるんだろうと。
でもどうやら本当にいないらしい。マジでいないそうな。意味不明すぎる。
てか、お腹が空いた。