【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】②どんな世界でもあなたを想う
第3章 記憶
私達には前世の記憶があった。
前世なのかはわからないが、その世界の事を鮮明に
覚えているので恐らく前世だろう。
その世界は巨人という化物が存在していて、
人類は戦い続けていた。
エルヴィン団長率いる調査兵団に属していた私はそこまで
優秀ではなかったが、運良く生き延びた事で分隊長まで
上り詰めていた。
当時、分不相応な地位を得てしまった私は死に物狂いで
訓練に明け暮れたが成果はあまり上がらず、一人嘆いていた所に
現れたのがリヴァイ兵長だった。
私の意志を聞いた彼はぶっきらぼうな態度とは裏腹に
私を根気強く指導してくれ、強くなれた。
そして、いつの間にか恋人になっていた。
私の前だけで見せてくれる微笑みと甘えたように
寄り添ってくる姿が愛しくて、私はこの人を
絶対守ってみせると心に誓った。
――だが、現実はそんなに甘くはなかった。
私は彼の目の前で巨人に食い殺されてしまった。
最期に見た彼は泣いていた。
普段絶対泣かない人なのに、私が泣かせてしまった。
その最期の記憶が転生した今でもこびり付いて頭から離れず、
私は今度こそ彼を守ると誓って早々と軍隊に入った。
もしかしたら私が持っている記憶は全部夢でただの
思い込みだったかもしれないし、リヴァイがこの世にいるかすらも
わからないというのに私の心にブレは無かった。
軍属でいるのは時折訪れる昔の記憶からの
逃避だったのかもしれない。
弱かった過去の自分を消し去るように私は強さを求めた。