第2章 HONEY & LOVER
「檜山くん……テレビ越しでも仏頂面。本当に不機嫌さを隠しもしないって人としてどうかとは思うけど、それだけ足立くんのことで立腹なんだね。」
生放送のLiar-Sの出番でのトーク。朔良くんは、目が座っていた。関わるなオーラが半端ない。つい、私も友人の言葉に苦笑い。
それでも、みんながフォローして何とか番組が終わったのはかれこれ30分前のこと。
今は玲衣と二人で、他番組を見ながら課題なんかをやっていたりする。
そして、来客のチャイムが鳴り響いた。
カメラ越しに見えたのは、小林くんだった。じぃっと、カメラを見据えている。
「出るのは止めておいた方がいいよ。」
「うん……そうだね。」
しかし、チャイムが……止むことはなかった。7回を越えてから、もう何度鳴らされたか分からない。
「小林くんって、こんな人だったっけ?」
「何か、小林くんらしくないね……。」
「大丈夫だよ。居留守続けたら、いずれ諦めるだろうし。」
「あれ?人影?」
「ん?あ、本当だ。誰かもう一人……あ、これってまさかっ!!?」
チラリと見えた服が、今日の講義で見たものと同じだった。
「二人で来てる?」
「どうして……。」
「本当にヤバイ状況かも。執着心が半端ないよ。でも、何で小林くんが協力みたいなことをやってるのかな?」
基本的に、小林くんは悪人じゃない。色々あったけれど、納得してくれたのだと思っていた。でも、その小林くんがマンションにまで来ている。
小林くんは知らないのだろうか?妬まれていることに……。言いくるめられたのか、他に何かあるのか……。
「小林くんは兎も角、足立くんは何を考えているんだろ。ちょっと、普通じゃないよ。」
「うん……。」
結果的には、居留守を継続。そして……。
外では…………朔良くんたちが対峙していたなど、私たちは知るよしも無かった。
そう……チャイムが鳴らなくなったのは、諦めたからではなく、朔良くんが二人に声を掛けたから……。