第2章 HONEY & LOVER
あの日から、俺の住み家はあいつの家…………にはならなかった。あいつがつるんでいる友人が出しゃ……嫌、時間を共有することに立候補したからだ。
内心は面白くない。でも、今回ばかりは俺も折れることにした。何せ、俺は仕事があるから、一緒に居られる時間が友人と比べて少ないだろう。
それでも、俺に時間がある時は俺の家に留まる約束をすることは出来た。更に、あいつの友人は周りの友人らも巻き込んだ様だ。
そして、宗も上手く言ってくれたみたいでクラスでも一人でいることは無くなったらしい。
学校が始まったある日の放課後。俺は委員長(小林)に待ち伏せされていた。そこで言われたことに、俺は驚いた。内容はこうだ。
「足立が彼女を好きだと言うんだ。檜山のことは重々承知している。だから、一度だけでいいからデートさせてやってくれないか?そうしたら、綺麗サッパリ忘れると言っているんだ。」
嘗ては、目の前にいる委員長が恋慕していた相手。それを知っていて、こんな願いを持ちかけられるとは……一体、どんな風に上手く言ったのか?そして、この委員長は何処までお人好しなんだか。
「そんな馬鹿な提案、飲むわけないだろ。」
「なら、本人が了承したらいいか?」
「何故、そこまであいつに執着する?」
委員長は、サッパリした表情で友人の頼みだからだと言う。本当にお人好し過ぎるだろ。
「あんまりなめた真似すんな。俺があいつに許可させねぇ。あいつは俺の女だ。誰にもやらねぇ。じゃあな。」
「ちょっ待っ!!」
咄嗟に捕まれた腕。でも、冷たい目で睨み付け腕を振り払う。何だよ……あいつを貸し出せみたいな提案は。
人をバカにするにも程があるだろ。
それに、委員長自身は何とも思わないのか?
今日のテレビ出演は、イライラしっぱなしだった。芹らがフォローしているが、俺はどうにも気持ちが収まらなかった。
芹らも事情を話したからか、何も言っては来なかった。今日の夜は、あいつの友人が傍にいる。
でも、送られた場所はあいつの家だった。
「彼女の顔でも見て落ち着け。」
「さ、朔良ちゃん見てっ!!」
何かに気付き、叫んだ宗。俺はあいつの家の前にいた、あの男と委員長の姿が視界に入った。
「直談判か……。」