第2章 HONEY & LOVER
俺はあいつを抱き上げては、自分が座った膝の上に座らせた。大人しくされるがままのあいつを抱き締めては、あいつの体温を堪能する。
何度も髪を撫でては、あいつの顎を持ち上げ顔を寄せた。触れる間近に閉じられたあいつの瞳。
ゆっくりと確かめるかの様に、あいつの唇に自身の唇を重ねた。何度も柔らかい感触を堪能して唇を離した。
「口……開けて」
少し開いた唇を更に抉じ開け舌を入れ、あいつの舌を絡めとり深いキスを繰り返す。
時間ギリギリまであいつを堪能しては、タイムリミットを報せる電話の音がした。
「時間……早かったね」
「あぁ」
最後にあいつの唇を深く貪り、最後に強く抱き締めては、名残惜しくも腕を離した。
「また、来る。服……サンキュ。今日はこのまま行くから、着てた服は置いといて」
「うん」
玄関で、あいつからの行ってらっしゃいを聞いては、芹が待つ車へと向かった。
「おはよう、朔良。少しは元気になったようだな」
「うるさい。さっさと出せよ」
確かに、病んでいたのは自覚ある。
「その服……」
あいつからの誕生日プレゼントだと言えば、芹から出所が他国のものだと説明された。あいつが俺の為に準備してくれたものだ。嬉しくないわけない。それにしても、イギリス製か……。
「で、その荷物は?」
「あ、弁当。不本意だけど、芹らの分もある」
あいつが消化のいいものをと考えて、用意してくれたものだ。
「それは楽しみだな。最近、食欲不振気味だったからありがたい」
食べるものに困らないのは、贅沢悩みなんだがな。毎日だと、胃にくるし夏だから余計だ。
テレビ局の控え室に入ると、コッテリしたスタミナ弁当が積まれてあった。千哉や宗も、少しバテ気味な様。
撮影は三時間で終了。控え室に戻り、メンバーらに弁当を振る舞った。不本意だけど……。
「へぇっ…………アッサリして食べやすい」
「優しくて美味しいわね」
「しっかりと出汁の味がする」
勢いよく食べ進めるメンバーたち。取り分け、だし巻き玉子は気に入っていた様だった。
「朔良……今の彼女、絶対に離すなよ?」
千哉が言うには、あいつと居ると……少しはまともになるらしい。そう言えば、煙草の本数……あいつと居るとかなり減ったかも?