第2章 HONEY & LOVER
翌朝、私は目を覚ました。直ぐ目の前には、朔良くんの顔がありました。じぃ~と、見詰めていた私。やはり、少し疲れた様に見えます。
豪華な食事は飽きるって言っていたし、体にもあまり良くなかったのかもしれない?ここは和食で疲れた胃腸を和らげたい。
…………えっと、ベッドから出られません。正確に言うと、朔良くんの腕からですが。背に腹は代えられません。私は、朔良くんに声を掛けました。
薄っすらと開いた朔良くんの瞳。確かめるかの様に、私の頬に触れる手の平。
「……本物か?」
「おはよう、朔良くん」
「そっか…………久しぶりにちゃんと寝られた気がする。……ハァッ、抱き心地いい。あぁ、おはよ」
柔らかい朔良くんの笑みは破壊力抜群で、私の顔に熱が集まりました。
「どうした?顔……赤くなったけど」
「ううん。朔良くんはもう少し休んでて」
朝食を作ると言うと、珍しく直ぐに離してくれた。机に並べたのは、和食の定番料理ばかり。その中で、だし巻き玉子は綺麗に焼けた。
朔良くんを起こしては先に身支度してもらう。お味噌汁を装っていると、背後から私の腰に腕を回してきた朔良くん。
「いい匂い…………お前の匂い、すげぇ好き」
触れるだけのキスを頬にされる。朝から機嫌がいいみたい。何とか座って貰っては、一緒に食事をとった。
「ん……旨い」
「朔良くん。何時に出るの?」
「10時。芹が近くまで迎えに来る」
「だったら、もう少し休んでいた方が良かったんじゃないの?」
朔良くんの返答は、私の想像するものとは違っていました。
「お前を堪能したい」
「えっ?私を…………堪能?」
「ハグしてキスしてぇから」
ニヤリとしながら恥ずかしいことをサラリと言う朔良くん。きっと、確信犯だ。
「色々と、いっぱいいっぱいだったんだ。周りにいる女が全員、お前に見えるくらい……」
「えっ?」
「病んでたな……俺。だから、お前を充電したい」
恥ずかしくなって俯いたまま、私は小さく頷いた。こんな風にまっすぐに気持ちを伝えてくれるのは、凄く嬉しい。
食事の後、洗い物をする私にベッタリな朔良くん。座って待っててと言っても、頑なに拒まれたのは言うまでもない。
最後のお皿を洗い終えると、いきなり抱き上げられた。