第2章 HONEY & LOVER
あいつが用意してくれた服は、俺にしっくりくるデザインと着心地の良さだった。
勉強していたのか、机の上には洋書と辞書やノートがあった。
「朔良くん、珈琲淹れたから。座って?」
「ああ」
夏にも関わらず、でも飲みやすい熱さの珈琲だった。こんなところにも、あいつの気遣いが伺える。直ぐに飲み干してしまえば、後はあいつを抱き締めた。
いつもの髪の匂いと、甘く薫るあいつそのものの匂い。久しぶりに堪能する。
「朔良くん……少し……苦しい……」
無意識に強く抱き締めていたらしい、あいつの華奢な体。少し腕の力を緩めた。あいつは腕の中で体の向きを変えては、俺の体に腕を回す。
あいつの髪に顔を埋めては、あいつを堪能する。俺の好きな匂いだ。ずっと触れたくて仕方無かった。
あいつの頬を一撫でしては、小さな顎を持ち上げた。近距離で視線が合う。見つめ返してくるあいつの瞳。変わらずまっすぐで……触れた唇は柔らかくて、俺は夢中で貪った。
俺の胸を叩くあいつに、俺は唇を離した。苦しかった様で、呼吸がままならなかったのか息も絶え絶え。でも、俺にしがみつく姿が可愛くて……深いキスを止められなかった。
「えっと……悪い。大丈夫か?」
頬を赤くしては、浅い呼吸を繰り返すあいつ。そんなあいつを抱き上げては、ベッドに寝かせては隣に横になった。
「そろそろ寝るか」
「……フウッ………うん」
あいつを腕の中に抱き入れては、あいつの髪に顔を寄せた。このまま時間が止まればいいのに……。額にキスをすれば、あいつが俺を見上げた。
「ん?どうか……」
潤んだ目で俺を見詰めるあいつ。顔を寄せれば、柔らかく触れるだけのキスをする。
こんな顔見せられたら、止められる訳ねぇじゃん。もっと俺を欲しがれ……そう願うかの様に、何度も角度を変えては触れるだけのキスを繰り返した。
あ……また、胸を叩くあいつ。遣り過ぎ?
「悪い……」
でも、あいつは怒ってなくて……俺の体に身を寄せてきた。俺から離れたくないと言うかの様に。
心から愛しい……そう思う。
「……好きだ」
「私も……朔良くんが好き」
やがて、眠そうな声のあいつから規則正しく聞こえる寝息。髪を撫でては俺も目を閉じた。やっぱり、こいつと居ると……すげぇ落ち着く。