第2章 HONEY & LOVER
カミングアウトした俺に、あいつはこれ以上ないくらい驚いた顔をしていた。
「小林くんはどうしてそんなことを?」
「さぁな」
理由なんか教える筈ねぇだろ。あいつがお前を好きだなんて。
「俺の腕の中で、他の男のことなんか考えんなよな。ムカつく」
「で、でも、朔良くん小林くんのこと庇ったんだね。やっぱり、朔良くんは優しいよ」
こいつ……マジで呑気。つい、溜め息を吐いてしまう。でも、キラキラした目で俺を見ているからお仕置はしねぇけど。ま、弄りまくるけどな。
講義が始まり、静かになった教室。隣で真剣に講義を受けるあいつ。
一つの憂いは晴らせたかもしれない。でも、肝心の噂の出所は分からず仕舞。普通に考えれば、あの男の友人だろうけど……。
俺たちが付き合ってることを知ってどう動くか……。今のこいつは、あの男の友人のことを拒絶している。でも、付け入られないとは限らない。
何か、想像するだけでムカつく。いっそ、檻の中に閉じ込めてしまうことが出来ればいいのに。
夏フェスが終わったら、こいつを一人占めしよう。朝も昼も夜も……。
放課後、芹たちと待ち合わせの場所に行く。宗には、あいつのことを話しておいた。
「でも、このままでは終わらない気がするわ」
「噂のことも、何も分かってないしな」
「あぁ。あいつには、一人にならない様には言ってある」
今すぐは動かないが、落ち着いた頃に必ず…………。あいつを気に入る相手は、あいつに入れ揚げるヤツが多い。ストーカーの時といい。
あ、俺も?…………余計なお世話。講義が終わった後、あいつを連れ出してはキスしまくったし。勿論、人のいない場所で。
複雑な顔をしていたけど、約束を守ったって言ったらあいつは丸め込めたし。
やっぱり、あんまり待てないかもな……。あいつの全てが欲しいし……。あんなにしたのに、もうあいつにキスしてぇ……。
「兎に角、私も気にかけておくわ。朔良ちゃんが暴走し無いように」
「だよなぁ。ラウンジでイチャイチャしまくってた訳だし」
「うるさい」
ただ、あいつが悲しむことにならなければいい。