第2章 HONEY & LOVER
朔良くん近いし、髪を撫でてるし……機嫌、良さそうだし。ま、まぁ……これくらいなら許容範囲かな。慣れって凄いなぁ……。
「どうかした?」
「ううん」
余計なことは言わないでおこう。折角、朔良くん機嫌良さそうだし。
でも、近距離…………朔良くん、私の髪に顔寄せてる。何か、リップ音聞こえた気がする。
「クックッ……顔、赤くなってる」
な、何でそう満足そうなの?
「頭ん中、俺のことばかり考えている?」
「ど、どうして分かるの?」
「そんな赤い顔すんのが俺のことじゃないなら、お仕置だけどな」
目を見開いたまま朔良くんを見詰めていると、掴まれた腕を引っ張られ……朔良くんの腕の中に体が収まっていた。
額に感じる朔良くんの吐息。少し擽ったい。……って、そうじゃない!あ、擽ったいのは本当だけど。
朔良くん物凄くご機嫌で、私の頭に顔を寄せている。スリスリされてる……。
体を起こそうとしたけれど、不服そうな声が頭の上から聞こえる。
「何、離れようとしてんの。会える時くらい、お前を堪能させろ。キスしてぇの我慢してんだ。離れるなら離れられない様にして……キスするけど?」
私はピタリと動きを止めた。あ、また、スリスリされてる……。
でも、ご機嫌の朔良くんの動作は一瞬で止まった。今、私たちの周りにクラスメイト男女が囲んでいた。
「何?」
「聞きたいことがあるんだ。あのさ……二人って、付き合ってるのか?」
「あぁ。な?」
私にも同意を求める朔良くんに、私は顔を赤くしながらも頷いた。正直、周りの反応が怖い。
「そっか。……だよな。最初から、檜山は彼女にベッタリだったし。じゃあ……やっぱり、委員長と付き合ってるってデマか」
皆が、委員長に視線を向けた。非難する様な視線だ。でも、口を挟んだのは朔良くんだった。
「あの噂は、そいつが原因じゃない。そんなせこい真似、そいつが遣るわけないだろ。ま、誰がやったかは分からねぇけど」
「そう……なのか?え、い、委員長悪いっ!!嘘つきだなんて言って」
周りの人たちが、口々に謝罪している。私は意味が分からず、朔良くんを見上げた。
「あの……今のって?」
「以前、あいつに呼び出された。お前に構うなって、直接言われた。俺には合わないってな」