第2章 HONEY & LOVER
宗から連絡が来たのは、4講義目前だった。3講義目が一緒だった様で、あいつに元気がないとのこと。
幾ら、宗が尋ねても話してはくれなかった様だ。ただ、一言だけ……。
「少し思うことがあっただけ」
それだけだった様だ。講義の間、俺はあいつのことばかり考えていた。
講義が終わることを報せるチャイム。俺は直ぐに荷物を手にしては、足早に教室を出た。
待ち合わせは中庭。まだ来ていない様で、あいつの姿は無かった。
やっと現れたと思えば、隣には見知らぬ男が何やら必死に主張している。でも、あいつの表情は初めて目にするものだった。
そんなあいつに近付き声を掛ければ、笑おうとしたが直ぐに打ち消された。
「バカ……俺にくらい、無理に笑おうとしなくていい」
「朔良くん……」
「で、あんた何?」
俺は男に目を向けた。男は俺に見向きもせずに、あいつに必死に謝罪している。それでも、あいつは何も話そうとしない。
そんなあいつは俺へと近付き、胸に体を寄せてきた。何かに耐えているかの様。俺はそんなあいつを、抱き締めては頭を撫でた。
「さん……檜山とはあまり関わらない方がいいよ?檜山も、さんから離れろよ」
「は?何で、部外者にそんなこと言われねぇといけねぇの。こいつ俺のだから」
「はぁ?何言ってんだよ。真面目なさんが、檜山みたいなヤツを選ぶはずないだろ」
聞く耳持たない男。
「お前がどう思おうが、こいつは俺の女だ。いい加減俺のものにちょっかい出すな。ウゼえ」
睨み付ければ、男は驚いた目をした。
「さん……本当に檜山と付き合ってるの?」
あいつは男に見向きしないまま、でも、しっかりと頷いた。
「行くぞ」
あいつの腕を引いては、人がいない教室へと入る。座席に座りあいつを膝に乗せた。
「で、何があった?俺にくらい言えよ」
でも、あいつは俺の首に腕を回し、ただ抱き付いてきただけ。俺は小さく息を吐く。
「……しっかり付け入られてたな、お前。つーことで、今からお仕置きな?」
あいつの顔を向けさせ、熱烈なキスを唇へとする。相変わらず拒もうとする力は弱くて、俺は夢中であいつの唇を貪った。
「……俺じゃ頼りない?」