第2章 HONEY & LOVER
私は教室の中を見回し、玲衣を見付けては挨拶をした。いつもの笑顔から、直ぐに真剣な表情になった。
「、噂のこと聞いた?」
「……うん。直接耳にしたこともあったし。でも、朔良くんはどうでもいいって……」
「何か、檜山くんっぽいって言うか……。でも、何処から噂って来てるんだろう?」
私も凄く気になる。そこへ声を掛けてきたのは、珍しく一人の足立くんだった。足立くんは小林くんと違って、玲衣を無視したりしない。
でも、玲衣の反応は小林くんと同じようなものだ。玲衣曰く、胡散臭いそう。まだ、小林くんの方が分かりやすいって言ってる。私には意味が分からないけど。
「で、考えてくれた?あ、もし一人に抵抗あるなら、友達も一緒ってのはどうかな。本当に男の一人暮らしって、侘しいもんなんだよ。クラスメイトを助けると思って頼むよ」
人の良さそうな表情の足立くん。つい、朔良くんと立場が被って見えてしまう。
「足立くん、止めておいた方がいいよ」
「え、何で?」
「、頻繁に伯母さんのお店手伝っているのよ。これから夏に向けて忙しくなるし」
足立くんは少し考えては、こう言った。
「伯母さんの店の手伝いなら、そこまで入れ込まなくていいんじゃない?たかが、手伝いだろ?そんなことより、俺を助けると思ってさ……」
「……足立くん、たかが、って何?」
「だって、手伝いなら適当でいいじゃん。身内だからって、こき使われるのってバカらしいだろ」
私の中で、何かが弾けた。
「ごめん。私は足立くんの手助けは、出来そうにないよ。だから、他の人を頼って」
「えっ?あ、何か余計なこと言ったなら謝るよ。ごめん!!」
私は、俯いたまま口をつぐんだ。伯母さんは元々外国で料理人をしていた苦労人。私を可愛がり、色んな料理を教えてくれた先生みたいな人だ。
私は……私では、戦力になんてならないと言われたも同じだ。2年頑張ってきたにも関わらず……。
足立くんは、玲衣が引き離してくれた。そして、私の頭を撫でた。
「やっぱり、胡散臭かったなぁ……。本心駄々漏れだったね。でも、ちゃんと拒めたのは偉い。もうさ、関わらない方がいいよ。後は、檜山くんに慰めてもらいなよ」
「えっ?」
「彼氏にくらい、甘えなさいよ。ね?」