第2章 HONEY & LOVER
俺を好きだと言うあいつ。でも、俺に摺り寄った体は小刻みに震えていた。あいつの中にあるトラウマが、根深いことを意味付ける。
やがて、震えは治まり静かな寝息が聞こえてきた。俺は目を開き、そんなあいつの体を強く抱き締めた。
「俺をもっと好きになれ。お前が俺無しで生きられないくらいに。俺は……例え、お前に嫌われたとしても手放す気なんてサラサラないんだからな」
小さく愛してると囁いては、俺も目を閉じた。額に甘いキスを落として。
翌朝、腕の中から抜け出そうとするあいつに俺は目を覚ました。そして、しっかりと抱き締め直す。
「おはよ……で、何処に行くつもり?」
「おはよう、朔良くん。朝食作ろうかなって……だから、放してくれる?」
「放したくないって言ったら?」
俺の言葉に、狼狽えるあいつ。すっげえ可愛い。
「い、意地悪言わないで……」
あ、何か……加虐心が湧いてきたんだけど?弄り倒したくなるじゃん。
「じゃあ、あんたからキスしてくれたら放してもいいよ。あ、反論無しな。ほら、目は閉じてるから」
暫くまごまごしていたが、触れるだけのキスを頬に感じた。あ~ぁ、唇にって言っておけば良かった。少し残念。
目を開けてみれば、あいつの羞恥に震える顔。何これ……付け入って下さいって言ってる様なもんだろ。
「顔真っ赤……マジで可愛いんだけど」
今度は、俺からの熱烈なキス。朝から柔らかいあいつの唇を貪り、あいつの手料理を食べた俺はご機嫌だった。
それに、今日は朝から一緒に通学。
「早いな……もう着いちまった。お前はあっちの校舎だったよな」
「うん。じゃあ、またお昼にね?」
行ってしまおうとするあいつの手を掴む。
「どうかしたの?」
「あ……その……気を付けろよ?」
「うん?講義を受けるだけだよ。朔良くんは心配症だね。でも、心配してくれてありがとう」
ハァッ……全然、分かってねぇ。俺がどんだけモヤモヤしてるか。ったく、呑気なヤツだな……。
昼休みの待ち合わせ……面倒なことが起こらなければいいんだがな。
そんなことを考えながら、俺は講義を受けるべく校舎に向かった。