第2章 HONEY & LOVER
何か、朔良くん大きな溜め息を吐いてる。それに、危機感って……。
「兎に角、関わるなって言いたいところだけど、無理なのは目に見えてるな。…………ったく、俺のもんなのにムカつく」
眉間に皺を寄せては、不機嫌そうな表情をする朔良くん。肩を抱き寄せられては、私の頭に顔を埋めた。
「明日の講義、待ち合わせな?先に行ったら、恥ずかしいお仕置きするから」
「えっ?恥ずかしいお仕置きって何?」
「今は内緒」
不敵な笑みを浮かべては、私の目を覗き込んでくる。
「今日、泊まってく。ほら、一緒に寝るぞ」
「えっ?」
「駄目なの?つーか、駄目って言われても泊まってくけど」
朔良くんの中では、決定事項みたい。突然感じた浮遊感に驚けば、朔良くんに抱き上げられていた。
「さ、朔良くん」
「暴れるな。落っことすぞ」
ピタッと止まる私の行動に、ニヤリと笑う朔良くんの口元。
「素直。さ、寝るぞ」
ベッドに下ろされては、私の隣に横になる朔良くん。腕の中に抱き入れられる。
「なんもしねぇから……こうして寝るだけ」
そう言ってから数分後には、静かに寝息をたてる朔良くんがいた。そんな朔良くんの顔を覗き込む。こうしているだけで、幸福感を感じられるから不思議。
さっき、言っていた言葉を思い返し心臓がトクンと跳ねる。
「俺のもんなのにムカつく」
その言葉を反芻しては、私は目を閉じた。今こうして傍にいるのに、朔良くんのことは怖くない。
出会ってから数度の機会…………付き合うようになった今でも、朔良くんは朔良くんのままだ。
夢に朔良くんが出てこないかなぁ……。夢の中でも、会いたいって思う。こんな風に思うって、私自身考えられなかった。
あんな怖いシチュエーション…………2度と思い出したくないのに。でも、私の体は正直だ。
朔良くんが怖い訳じゃない。でも、いつか……そういうことになった時、私は私でいられるか自信がない。
その時、私は朔良くんを失望させてしまうかもしれない。嫌われてしまうかもしれない。私の前から、消えていなくなってしまうかもしれない。
今は…………それが怖い。
震える手で朔良くんの服にしがみついては、体を擦り寄せた。恥ずかしいのに、それ以上に安心するんだ。
「……朔良くん大好き」