第2章 HONEY & LOVER
朔良くんの言葉に、私の顔に熱が集まる。さらりと、恥ずかしくなることを言うんだから……。
でも、朔良くんは本当に変わらなくて…………いつもと同じ様に私の髪で遊ぶ。
「……触り心地いいよな…………お前の髪。キスしたくなる…………」
私が口をパクパクしていると、目を細めては私の反応を楽しそうに見ていた。
「どうかしたか?顔……赤いけど」
「さ、朔良くんが恥ずかしくなることを言うから…………」
「嘘じゃねぇんだからいいだろ?」
悪怯れる様子もなく、私の髪に顔を寄せる朔良くん。そして、小さなリップ音がして、私は肩を揺らした。
「クックッ…………可愛い反応するじゃん。そんな顔されたら、余計に弄り倒したくなるんだけど…………なぁ、それってわざと?」
「も、もう…………」
「冗談だ……あ、でも……弄り倒したくなるのは本当」
弄り倒したくなるって……。
「顔……赤い。可愛いな……」
だ、駄目だ……何を言っても。でも、朔良くんが楽しいとか嬉しそうとか……うん、それならいいや。
「ん…………やっと笑った。あんたは笑った方が、もっと可愛い」
「さ、朔良くん……恥ずかしいよ」
「嫌?」
分かってて聞いてくる…………本当に狡い。好きな人に可愛いって言われて、嬉しくないわけないじゃない。まして、彼氏から言われたら尚更だよ。
「い、嫌じゃない…………嬉しい」
「素直。やっぱり可愛いな…………」
私たちの周り、きっとピンク色だな……。こんな甘々な話して…………。それに、朔良くん……私の髪、触ったままだし。
恐る恐る手を伸ばしては、朔良くんの頭を撫でる。少し驚いた顔をしたけれど、大人しく撫でられている。
「朔良くんの髪……フワフワしてる」
「そ?自分では分からないけど……」
そこで、ハッとする。わ、私たち…………イチャイチャしてる?でも、朔良くんの髪は触り心地良かった。
「な、来週、あんたの手料理食べたいんだけど……」
「うん、分かった」
「楽しみ……」
穏やかな表情の朔良くんに、つられては笑顔になる私……。
やがて、講義が始まった。講義中でも、朔良くんは近距離で適度に私にちょっかいを出す。うん、適度に……。
流石に、指を絡められた時は心臓が跳ねたけど……。