第1章 FIRST AND START
朔良くんの告白に、私は嬉しくて仕方無かった……ただ、寝ている時にキスしたって言われたのには驚かされた。
再び、朔良くんに手を引かれては家へと向かう。寝込みを襲うのはダメだって言うと、自信無さそうに目を反らされた。
油断も隙もない…………。
でも、明日からは堂々と朔良くんと居られる…………ん?元々、堂々としていたかも?
兎に角、朔良くんが恋人になったんだ。嬉しくて仕方無い……。
「朔良くん……何処に行ってるの?」
「ん?俺の家……今日は帰せないから」
朔良くんの言葉に、私は顔が赤くなる。
「か、帰せないって…………」
「あぁ、いきなり襲ったりはしねぇよ。ただ…………な?」
な?って何?な、って………。
「まぁ……寝込みを襲っといてあれだけど。仕方ねぇじゃん。あんたが可愛いんだし……」
えぇっ…………逆ギレ?
「もう…………」
しょうがないなぁ……なんて思ってしまう私も、大概、朔良くんに甘いのだろう。
「朔良くん、明日の予定は?」
「明日は、夕方からテレビ撮影。生放送だから、見てくれな?」
「うん。楽しみにしてる。じゃあ、明日は昼一番の講義、一緒に受けられるね」
まぁ…………小林くんたちも居るけれど。それでも、朔良くんの傍に居られるのが嬉しい。
やがて、朔良くんの家に着く。二人分の珈琲を淹れていると、後ろから抱き締められる。
いきなり耳を甘噛みされては、変な声が出る。
「……なぁ、感じた?耳……弱いんだな」
低い艶のある声が、耳元で囁かれる。朔良くんの腕に抱き締められて、解くことは叶わない。
吐息が溢れる度に、私の肩が揺れれば朔良くんは小さく笑う。
「感じ過ぎ…………そんなに可愛い反応されたら、たまんねぇんだけど…………」
朔良くんの態度や甘い声に、私の頭のなかはパンクしそう……。でも、怖いって感情はなくて……やっぱり、私は朔良くんが好きなんだと実感させられた。
「…………どれだけ我慢出来るか自信ない。でも、あんたを食べたら…………甘くて旨いんだろうな」
もう無理…………。何とか珈琲を渡しては、朔良くんの背中を押す。このままでは、私の思考がもたない……。