第1章 FIRST AND START
とうとう自分の気持ちは告げた。こいつのこんなに驚いた顔は初めて見たかもしれない……。
でも、俺が向けた視線を反らさない。
「……っ!!」
俺は、あいつに抱き付かれた。まるで、俺から離れたくないと主張しているかの様に……。そんなこいつを俺は抱き締めた。
「……なぁ、返事……聞かせて?」
「私も好き。朔良くんのことが好き。だから、一緒に居たい!!」
あいつの意思ある返答に、俺はギュッと強く抱き締めた。ずっと、こんな風に抱き締めたかった……。
「な、顔……見せて?」
でも、あいつは首を横に振る。あぁ…………耳まで真っ赤になっている。それに気付き、つい嬉しくなる。
「好きだ…………」
「私も好き…………」
「もう……離さねぇからな」
さっきのこいつの伯母さんの店でこいつが席を外した時、俺は伯母さんから尋ねられた。要約すれば、早く告らないのかと…………。
それでも、俺がそのつもりでいることを話せば、応援すると言ってくれた。そんな話をしていたなど、こいつは知らない。
兎に角、こいつも思うところがあって、いい返事を貰えたんだ。もう……遠慮なんかしなくてもいいよな?
こいつの顎を掴んでは、2度目のキスをした。欲のまま貪った唇は、中々、離してやれなくて……。そんな俺に必死に応えてくれようとするこいつが可愛くて……。
「チュッ…………んっ…………ん………………ハァッ…………何これ?…………あんたとのキス…………填まりそうなんだけど。……な、もっとキスしてたい…………」
夜道とは言え、こんな往来で何やってんだって話だが…………言葉の通り、離してやれなかった。それでも、全然足りなくて…………。
こんな俺に、息も絶え絶えになるこいつに…………唇を離せば、足に力が入らなくなった様で……崩れかけたこいつを抱き止めた。
「…………その…………悪い。……でも、まだまだあんたとキスしてたい…………」
「……朔良くん…………私、初めて…………なのに、激し…………」
こいつの初めて宣言に目を反らす俺……。
「あ…………悪い……この前、寝てる時に……その…………キスしちまった。あんまりあんたが可愛くて…………」
こいつは、俺のカミングアウトに口をパクパクした。