第1章 FIRST AND START
俺の腕の中であいつの体が跳ねる度に、可愛くて仕方無い……。耳まで真っ赤になった横顔は、更に愛しくて…………。
遠い未来じゃなく、近い未来には我慢できなくなってそうだ。あいつを食べたら、填まっては抜け出せそうにないだろうな……。
それでも、今すぐに手を出すのは躊躇われた。恋人になったんだし、これからは目一杯甘やかして口説きまくろう。
抱き締めるのも、キスするのも気兼ねなく出来るし……。そんなことを考えていると、あいつに背を押されては部屋に入る。
机にマグカップを置き、あいつが手にしているカップも置けば…………抱き締めてはキスした。
緩い力で俺の胸を押しては拒む様な態度をとるが……全然、本気じゃない。部屋に響くキス音に、更に気分が高揚していく。
「…………ハァッ…………あんたとのキス……止められそうにない…………それに、あんたのこと好き過ぎて変になりそう…………」
弱い力の抵抗は諦めた様で、俺に貪られるまま受け入れてくれている。
暫くの間続いたキスに、あいつはグッタリとする。……やり過ぎたよう?
温くなり飲みやすくなった珈琲を口に含めば、あいつの口の中に注ぎ込んだ。喉を流れる感触に満足しながら、最後にあいつの唇を舐めた。
「も、もう…………いきなり……酷いよ…………」
「酷くない……俺からの愛情表現だろ…………あんたが好きなんだから仕方無い。諦めろ……」
気を抜けば、そのまま最後まで襲ってしまいそうだったけれど……何とかそれだけは耐える。
でも、本音を言えば直ぐにでも俺のものにしてしまいたい。あいつの全てを自分のものに……。
ただ…………これからは堂々とイチャイチャ出来るし、あいつを独り占め出来る。楽しい未来しかない。
…………俺、浮かれてる?
思いの丈のキス三昧だけでも、今回はヨシとするか……。
これで、あの男にも他のどんな男にもこいつはやらない。俺しか見えない様に填まらせてやる……。
この日最後のキスをしては、あいつを抱き締めて目を閉じた。
俺はあんたしか見えない。だから、あんたも俺以外に見向きさせねぇから……。
俺は独占欲強いから、余所見なんか少しでもしたらお仕置きな?たっぷり、可愛がってやるよ……全身全霊で。