第1章 FIRST AND START
次の講義は玲衣と同じ。待ち合わせをしては、ハルちゃんのことを話した。
「へぇっ……榛名くんが協力してくれたんだ。で、楽しくみんなでお喋りしたって……ねぇ、はどうしたいの?」
「距離を置こうかなって思ってるんだけど……」
でも、現実は難しい。次の講義だって、同じものを取っている。つまり、また顔を合わせることになる。
「講義行こう?サボる訳にはいかないもの……」
「時間ギリギリに行こうよ」
正直に言って、毎日が緊張感半端ない……。そんな日々を送りながら、ある日、ラウンジで玲衣と空いた時間を過ごしていた。
「ここ空いてる?」
私たちは、ビクリと体を震わせた。当たり前の様に声を掛けて来たのは、小林くんと足立くんだ。
「あ、うん……」
「何か、ちゃんと話すのは久しぶり?」
そこへ鳴り響いた電話。相手は朔良くんだ。
「もしもし?」
「次の講義、間に合いそうだから席取っといて。……で、居るの?」
朔良くんが言おうとしている意味がわかり、私は肯定の返答をする。
「……そ。放課後、時間ある?」
「うん」
「なら、空けといて。伯母さんの店、行かないか?」
中々、行けていなかったけれど、約束していたことを思い出した。電話を切ると、足立くんが話し掛けて来た。
「あのさ……その着信音、どうにかならない?ちょっと頭に響くって言うか……」
「あ、五月蝿かった?ボリューム下げるよ」
「嫌、そうじゃなくてさ……他の奴等も言ってたけど、さんのイメージじゃないって言うか、合っていないんじゃないかなって……」
つまり、曲を変えろと?イメージって何?周りのイメージを押し付けられるのは不愉快だし、私はこの曲が好きなんだよ。
「、電話って檜山くん?」
「うん。次の講義の席取っといてって」
「檜山に良いように使われてない?迷惑してるなら、俺からそれらしく言ってもいいよ?」
何、迷惑って…………。
私は席を立ち、荷物を手にした。
「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だから。玲衣、行こう……」
「何で、檜山を庇うの?まさか、脅されたりしてる?」
よく知りもしないのに、朔良くんのことそんな風に言わないで欲しい。