第1章 FIRST AND START
翌朝、二人で待ち合わせの東門前へと向かった。宗に気付き、あいつに声を掛ける。
「榛名 宗太郎。名前くらいは知ってんだよな?」
「うん。あの……捲き込んでしまってごめんなさい」
「ハルちゃん……そう呼んでくれたら許してあげる。朔良ちゃんのたってのお願いだしね?じゃあ、行きましょうか」
あいつは、宗と講義がある校舎へと行った。一先ずは、安心か…………。
でも、解決された訳じゃない。きっと、あの男はここぞとばかりに付け入ってくるのは目に見えてる。
優等生を地で行く様なヤツに見えたんだがな……。ひょっとして、あの男の知り合いの入知恵とかかもしれないな。
今日も夕方から仕事だし、俺と同じ講義は無いし……。イライラが募る……。
講義の間、俺はあいつのことばかり考えていた。宗が居れば悪いようにならないだろうが…………。
兎に角、講義が終われば宗から聞くか……。講義が終わると、直ぐに連絡が来た。
「…………は?」
宗引っ括めて、楽しい談笑を演じたって……。あいつの友達は、無視同様だって言ってたのに。……演じた、か。
~♪
「……もしもし?」
「朔良くん……ハルちゃん、労ってね?物凄く……お世話になったから……あ、玲衣が来たからまたね!今日はありがとう」
一方的に切れた電話。そして、直ぐに宗が現れた。
「彼女から連絡来た?」
「あぁ。宗を労えって……。何かあったのか?」
「そうね…………委員長の友達の足立って人が曲者よ。端から見たら、物凄く好青年。でも、たまに見せる視線は…………真逆のキャラだったわ。このままじゃ彼女、丸め込まれるか既成事実を作られるかもしれないわよ?」
俺は、盛大に溜め息を吐いた。
「……分かった。腹……括るか」
「そうね……その方がいいと思う。あの子、いい子ね。真面目で優しくて……きっと、朔良ちゃんを大切にしてくれると思うわ」
「……あぁ。世話になった」
宗と分かれては、次の校舎へと向かう。
「……潮時か」
そう呟いては、覚悟を決めた。