第1章 FIRST AND START
翌日の放課後、私は小林くんを呼び止めた。
「小林くん、昨日は本当にごめんなさい!!」
深々と頭を下げれば、小林くんは面食らった様子。
「い、いいよ……気にしていないから。俺も驚かせてしまった訳だし。だから、おあいこってことで。ね?」
小林くんは、ニコニコした笑顔を見せてくれた。
「ありがとう、小林くん……」
「俺の方こそ。その……嫌われたって思っていたから。良かったよ、さんに嫌われなくて」
…………ここまでは良かった。
更に1週間後…………
「!ちょっと来て!!」
「れ、玲衣っ!!?」
人気の無い場所に連れられていった私。
「お、落ち着いて聞いてね?さっき、クラスの子から小林くんとが付き合ってるって聞いたんだ。そのこと、結構な人が知ってるって……」
「へっ…………?どういうこと?」
「二人が付き合ってることになってるの!ねぇ、何かあった?」
思い返したが、何もない……。
「この前、謝ったくらいだよ?」
「そう……一体、誰がそんなデマ流してんだろう?あ、私はちゃんと誤解だって言っておいたからね!」
「あ、ありがとう……」
最近、朔良くんは忙しいみたいで会えていない。それに、玲衣がいない時、小林くんは私の隣の席に座ることが多い。でも、それくらいで誤解されるかな?
会話だって、普通のクラスメイトが話すことくらいだし……。
「あ、予鈴だ。教室に行こう」
「うん……」
教室に入り並んで席に座れば、示し会わせたかの様に私たちの前に座った二人組。小林くんと小林くんの友人の足立くん。
話し掛けてきた小林くんに、当たり障りない返答をする。いつもの笑顔だ……。足立くんも、最近話すようになった人。
講義の間、さっきの話で頭がいっぱいだった。講義が終わると、玲衣に私は直ぐに教室から連れ出された。
話し掛けて来ようとした小林くんたちより早くに……。
そんな私たちの後ろ姿を、忌々しそうに見ていたなんて気付かなかった。
「なるべく、一人にならない方がいいよ」
朔良くんと同じことを言う玲衣。それに対し、私は頷いた。暫くは、あまり近付かないことにすることを玲衣に告げた。
そう簡単にはいかなかったのだけど……。