第1章 FIRST AND START
夜中、目を覚ました時、あいつは俺の隣で眠っていた。小刻みに震える体が俺にまで伝わってくる。
しかし……簡単に俺を信じ過ぎないか?俺のこと、どんな風に思ってんだろうな。
それにしても、このままいるのは体が痛い。俺はあいつを抱き上げベッドに寝かせる。
「……わざとか?……ったく」
いつの間にか掴まれていた服。そう……仕方無く、あいつの隣で横になった。
眠っている時ですら、縋ってくるあいつを俺は抱き入れた。すると、ほぅっ……と小さく息を吐いては、震える体が収まった。
「……どんだけ俺を…………嫌、悪くないか」
無防備過ぎるあいつに笑いつつも、もっと俺に依存して離れられない様にしてしまいたい。
「……おやすみ」
あいつの額にキスしては、再び目を閉じた。
翌朝、あいつの表情は落ち着いている様に見えた。それに対し、安堵する。
そして、遣りそこねた礼を別日に、何かしたいと申し出てきた。
なぁ……分かってんの?そんなことされたら、帰せそうにないんだけど。ってか、帰さないから。
えっ?ガッコ?自主休講だって言ったら…………今、連れてこられた。ま、あいつと同じ講義があるから悪くないか。
しかし、ここでもあいつに執着しているヤツがいた。
2講義目は、あいつと同じ。教室に行けば、あいつは先に来ていた。で、あいつの隣にいるのって……あぁ、この前私物を返されたって言ってたヤツだ。
俺の姿に気付くと、駆け寄ってきた。何、その笑顔。マジで可愛いんだけど。
「ちゃんと来てくれたんだね。あ、席取ってあるからね。行こう?」
あいつが向かった先には、隣にあの男が陣取っていた。それを見たあいつは躊躇うことなく、空いた他の席に俺を誘導しては座った。
あの男の面食らった顔……。こいつは分かってない様だけどな。
「もっと一緒に講義を受けられたらいいのに。でも、お仕事があるから難しいね?」
「あんたが誘うなら来る」
そう言えば、パッと明るい表情を浮かべた。マジで可愛いんだけど。俺はこれ見よがしにあいつに体を寄せては、ノートの催促。
丁寧に説明するあいつに、俺は優越感を抱きながら聞いていた。