第1章 FIRST AND START
「朔良くん、助けてっ!!」
いきなり聞こえたあいつの声から、緊迫感が伝わってきた。恐怖で怯えている声に、俺は目を見開いた。
「落ち着け、今、何処にいる?」
「お、伯母さんの……お店……」
あいつを落ち着かせては、居場所を聞き出した。
どれ位ぶりだろ……って、何で俺……こんなに走ってんだろ。只の知り合い相手に……でも、この時は何も考えられなかった。
聞いた店まで10分足らず。到着しては、店へと飛び込んだ。
「朔良くん……ごめ…………さい……私……」
「貴方……フリマでお店に来てくれた男の子……。知り合いだったのね。あのね、ちゃんにストーカーが居るの」
外に出ては、辺りを見回した。流石に、警察を呼んだからか逃げた後だろうが、念の為に確認しないとな。
店内に戻り、あいつの傍に行った。あいつは、すっかり焦燥した表情で顔色が青い。
「外にはいない。……大丈夫か?」
あいつは、苦笑いを浮かべるだけだった。手が震えていて、指先が白くなるほど強く握り締めていた。
「悪いのだけど、ちゃんを送って貰えるかしら?私は、今から娘を塾に迎えに行かないといけないのよ」
「お、伯母さん、私なら大丈夫だよ。朔良くん……ここまで呼び付けてごめんなさい。私なら、大丈夫だから」
力無く笑うあいつに小さく息を吐いては、頭を一撫でする。何処からどう見ても、痩せ我慢しているのが見てとれる。
「どうせ帰る方向は同じだ。ほら、帰るぞ」
「でも……」
渋るあいつに俺は、腕を引っ張り上げた。
「嫌だとか迷惑だとか思うなら、ここへは来てない。それに、言っただろ?乗り掛かった舟だって」
「……あ、りがと…………」
知り合ったばかりの俺を頼ると言うことは、他に選択肢が無かったと言うこと。俺と接点を持ちたいと今のこいつを見て、そんなことを考えていないなんて一目瞭然だ。
帰り道、俺の袖口をギュッと掴んだままだった。このまま一人の部屋に帰らせば、不安で押し潰されそうな雰囲気。
「家……来るか?あ、別に弱ってるヤツにとどめ指すようなことをしない。まぁ……あんたが、自宅がいいって言うならそれでもいい」
しかし、あいつの反応は無かった。
俺はあいつへと振り返り、ただ……頭を撫でた。