第13章 長期合宿前編
音駒は最初は審判からなので、猫又先生と烏野の試合を見る。
飛雄の打点で落ちるトス、翔陽はトスが合わなくても咄嗟に左手で処理するし、旭先輩はジャンプサーブ、それから孝支先輩セッターのシンクロ攻撃や夕先輩のバックゾーンから踏み切ってのジャンプトス。
いろいろな事に挑戦してるけど、面白いくらい全てが上手くいっていない。
「うーん、小気味良い。小気味良い程に噛み合ってないねぇ」
たしかにそうですね。と猫又先生に同意する。
「どうしたんですかね、烏野。調子悪いんでしょうか…」
「その逆だと思いますよ」
直井コーチの言葉に言い返すと猫又先生が続けた。
「カラスだけあってさすがの雑食性。恐らくあれは驚くべきスピードで進化している途中だよ」
「あくまで途中なのでバラバラですけどね」
苦笑いして言えば猫又先生も笑った。
「でも私もびっくりです。前の合同練習からそんなに経ってないのに、全員がやるべき事を見つけてる」
ただ…蛍を除いて、かな。
素質があるのに本気を出さない。満点が取れるのに平均点で満足する。そんな感じ。
そんなこんなで烏野は全敗。
音駒は勝ったり負けたり。でも勝ちのが多いかな。
ただ梟谷には勝ち越せない。
初日の練習が終わった。
片付けをしていると光ちゃんが私を呼ぶ。
「優希ー!片付け終わったら第三体育館な!」
「はーい。自主練だよね?私も混ざっていい?」
「もちろんいいぞ!ただ無理はすんなよ!」
「わかってるよ。じゃあ後でね」
手を振って片付けをする為に体育館から出た。