第13章 長期合宿前編
マネがたくさん居るから片付けも早く終わる。
終わってすぐに第3体育館に行くと、スパイク練習をしている光ちゃんとそれにトスを上げてる赤葦さん。隅にはレシーブ練習をしているリエーフとそれを鍛えてる黒尾さん。
「お疲れ様でーす」
「おう優希、早かったな」
「光ちゃんが早く来いって言ったじゃん。あ、これドリンク作ってきたから置いとくね」
何人いるか分からなかったから適当に作った6本のボトルを扉の近くに置くと、サンキューな!と言う光ちゃんの後に続けて
「ありがとう。優希も練習混ざるの?」
と赤葦さんが聞いたので
「はい!混ぜてください」
笑顔で言えば、もちろん。と微笑んでくれる。
「優希ー!助けてー!黒尾さんがいじめるー!」
「うっせぇリエーフ!おう優希、来たか!」
レシーブ練をしてた2人も会話に気づいて駆け寄って来た。
「ん?じゃあリエーフは私がレシーブ練しよっか?」
「優希がしてくれんの?じゃあやる〜!」
あっ…と光ちゃんが声を出したが、リエーフは気づかなかったみたいで私の手を引いて体育館の隅へ移動した。
ーside黒尾ー
「ちぇっ、リエーフに優希取られたじゃねぇか」
「おい黒尾、灰羽大丈夫か…?」
俺が不貞腐れてると、木兎が心配そうにしている。
「何がだよ…あーあ、俺も混ざって来ようかな」
「優希な、プレイは超一流なんだが、教えるのがスパルタ過ぎて…」
まじ?と2人の練習を見ると、確かにスパルタだ。
俺や夜久より厳しいかもしれない。
「優希って教えてることは正しいのになんであんなスパルタなんだろうな」
「まぁ…灰羽が下手ってのもあるんでしょうね」
木兎と赤葦の会話を聞きながら考えていると、既にリエーフは限界に近いようだ。
しゃーねぇ、俺も行くか。
歩き出すと後ろで赤葦が話しかけてくる。
「黒尾さんが行くなら優希はこっちに来てもいいですよね」
こいつ、もしかして…
「いや、俺は優希がどんな風に教えてるのか知りたいだけだからな。…お前にはやんねぇよ」
にっと口元を上げれば赤葦は俺の言いたい事に気づいたのか、負けませんよ。と本気の目だ。
俺だって負ける訳にはいかねぇ。誰よりも優希の事が好きな自信はあるからな。
ーsideendー