第12章 手術そして夏休み
次の日、すっかり梟谷のマネさん達と仲良くなった私は、一緒にボトルとビブスなどの準備を始める。
そばかすがチャームポイントなポニーテールの似合う雀田かおりさんと、おっとり系で実は大食いな白福雪絵さん。
「ねぇ優希ちゃん、正直…木兎とはどうなの?」
「どう…とは?」
「付き合ってたりとか!」
「ないですね。従兄弟ですし」
「でも従兄弟って結婚できるよね〜」
「それか他に好きな人が居るとか?」
「それより、かおりさんと雪絵さんはどうなんですか?」
「いないいない」
「てゆーか、今優希ちゃん誤魔化したよね〜」
女子ってこわい。誤魔化しが全く効かない。
「うーん…最近、昔の夢を良く見るようになったんです」
「初恋の男の子!とか?」
「まあ…そうですかね」
「その子が意外と近くに居たりして〜」
「それだよ雪絵!だから良く夢に出てくるんじゃない?」
そんな話をしながら体育館に戻ると、試合形式での練習が始まった。
試合を見ながら、スコアを取りながら、また女子トークが始まる。
「その男の子ってどんな子だったの〜?」
「優しく笑う子でした」
「残念。そんな子ウチには居ないわぁ」
「木兎がナイなら、赤葦辺りなら面白かったのに」
「かおりさん、面白がってます?」
「でも赤葦って無表情だから笑ったとこ見ないよね〜」
そんな事を話していたら練習が終わった。
「はい、この話は終わりでーす」
そう言ってボトルを配ると、2人も話を止めてマネ業に専念した…いや、してない。
「ねぇ赤葦〜ちょっと笑ってみてよ〜」
「なんでですか?」
「なんでも!いーからいーから!」
「何も面白くないのに笑えませんよ」
わお。かおりさんと雪絵さんは何をやってるんだろう。
どうしてそんなに赤葦さんを笑わせたいのか。