第11章 衝突
学校に帰ってきて、明日は体育館の点検の為に部活が休みだと聞くと解散する。
仁花はバスだからバス停まで一緒に帰ろうと探していると、体育館の明かりが付いている。
まさかと思って中を覗くと、
「そん時に武器になんのは完成された速攻と現時点で全く使えない速攻どっちだよっ!?」
喧嘩腰に翔陽の胸倉を掴んでる飛雄と
「俺は自分で戦える強さが欲しい!」
その飛雄の手首を掴む翔陽、あとは
「けっ喧嘩だめだよ…っ」
なんとか2人を宥めようとする仁花が居た。
「なに、何があったの?」
中に入って仁花に聞くと説明してくれる。
つまり、たまたま居た仁花にボール出しを頼んで、翔陽は変人速攻でも自分で戦えるように飛雄と練習してたけどなかなか上手くいかず、それに飛雄がキレた、って事か。
なるほどね。と仁花と話していると、
「てめぇのワガママでチームのバランスが崩れんだろうが!」
飛雄は翔陽を突き飛ばすと、尻餅ついた翔陽を見下ろしたまま
「勝ちに必要な奴には誰にだってトスは上げる。今も変わりねぇからな」
俯いた翔陽は、
「か…げやまああぁ!!」
と飛雄に掴みかかる。放せ!と言う飛雄に対して、トス上げてくれるまで放さない!と言う翔陽。
これはヤバい!と思って、翔陽が投げ飛ばされたタイミングで2人の間に入る。
「ちょっと!2人とも冷静になりなって!」
「「うっせぇ!冷静だ!」」
と全く冷静じゃない2人を間で止めようとするも、さすがは男の子なのか女の私じゃ止めれない。
「仁花!誰か先輩呼んできて!」
そう言った私に頷いて、仁花は走って体育館から出て行く。
「ここで喧嘩しても意味ないでしょ!」
叫ぶ私に
「優希には関係ないだろ!」
「てめぇは黙ってろ!」
そう叫び返す翔陽と飛雄。
「私だってチームメイトでしょ!関係あるよ!」
「バレーできねぇヤツが出しゃばんじゃねぇ!!」
っ……!
ふと気を緩めたのがいけなかった。
2人に突き飛ばされてよろめいた私は、体育館の床に膝を打ち付けてしまった。
そこへ仁花が龍先輩を連れて帰ってきて、先輩が2人を殴って喧嘩を止めた。
「ごめん、先帰るね」
仁花にそう告げて私は体育館を後にした。
打ちどころが悪かったのか膝が痛い。
でも、それよりも……
…心が痛い。