第10章 いざ東京へ
体育館に入ると武田先生に呼び止められる。
「岡崎さん、合同練習中は音駒のマネージャーやってもらえないでしょうか。猫又先生たってのお願いで、誘って頂いてる立場で断れなくて…」
わお、黒尾さん仕事が早いな。でも確かに断れないわな。
「わかりました。ただ、皆には先生から説明してくださいね」
じゃあ行ってきます。と言って音駒の方へ行けば、事情を知ってるのか音駒の全員で出迎えてくれた。
「よく来たな。よろしく頼むよ」
「はい、お世話になります」
猫又先生に挨拶をすると、黒尾さんが皆に向かって紹介してくれる。
「と、いう訳で、合宿中はウチのマネージャーをやってくれる…」
「お久しぶりです、烏野1年の岡崎優希です。何でも言ってくださいね」
自己紹介すれば、
「久しぶりだな」
「またマネージャーやってくれるのか」
なんて声が返ってくる中で、
「えっなんで皆知ってんですかっ?この小っさくて可愛い子誰っスか?」
一段と背の高いハーフっぽい顔立ちの人が疑問を持つが、黒尾さんが一刀両断する。
「リエーフ、今自己紹介したろ」
えっと…と隣に立つ黒尾さんに彼の名前を聞こうとすると、
「俺、灰羽リエーフ!1年!よろしく!」
黒尾さんより先に自己紹介してくれた。
「私は烏野1年の岡崎優希。皆が遠征に来た時にもマネやったから顔見知りなの。灰羽くんははじめましてだけどね。合宿中よろしくね」
そう笑顔で言えば、
「リエーフって呼んで!俺も優希って呼ぶ!」
と手を握ってブンブン上下に振られる。これ握手だよね…?
いい加減にしろ!と夜久さんがリエーフを蹴飛ばして、ようやく離してくれた。
「そうだ、今回は音駒なんだしジャージはこっちな」
と言って黒尾さんが差し出した物は、真っ赤な音駒のジャージ。
それを受け取って、着ていた烏野ジャージの変わりに音駒ジャージを羽織る。かなり大きい。
これって誰のだろ…
「研磨のでもデカいか。本当は俺の着てもらいたかったんだけど、俺のだとかなりブカブカになりそうだし。いや、俺はそれでも良かったんだけど…」
黒尾さんがブツブツ言ってるけど、このジャージは研磨さんのだったのか。
「研磨さん、借りますね」
「うん。袖まくっても、腰に巻いてもいいから」
ありがとうございます。と言って皆はアップ、私は準備に向かった。